テーピング

テーピングをすると健常者と同じ歩き方ができるようになったと喜んで いたクライアントがいました。テーピングは時間とともに固定力が落ちてしまうこと、また皮膚がかぶれやすいという欠点があった。テーピングの代わりに足底板による傾きの補正で、同じような矯正ができないかためしてみることになった。試してみると足首の距骨の腫骨への滑りは抑えられ、テーピングとほぼ同様の効果があった。ただ膝や必要に新たなアライメントが要求され、痛みや疲れが現れてきたため、セッションでは主にそれらの筋疲労を取り除くパートナーストレッチを中心に行うようになった。

地道なストレッチとトレーニングの継続によって、右脚の筋力も高まり、左右の脚にほぽ均等に
体重をかけて立つことが可能となった場合もありました。骨盤も正常な位置に近づき、右膝の痛みも違和感が多少残る程度に改善した。右の脚に体重を乗せて歩こうとすると右足首の距骨が腫骨の上をすべるような感じがして、 しっかり体重をかけることができないという訴えがあった。足首の痛みはほとんど感じないところまで回復したのだが、通常の歩行パターンで歩こうとすると足首の不安定が残っている。これまで足首の筋肉を鍛えるエ
クササイスもずっと続けてきたのだが、靭帯の損傷が大きく、異常な可動性を持った足首を固定させるほど
の筋力はなかなかっかなかった。そのときに、スポーツで行うテーピングを施して足首の安定性をサポートすることを思いついた。早速「ヒールロック」という方法で足首を外反させて固定したところ、距骨が腫骨の上を滑らなくなり、思い切り右足に体重を かけても安定した状態を保つことができるようになった。15 年ぶりに普通の歩き方ができた。

プログラムの実践

痛みの有無を確認しながらリコンディショニンダブログラムを進めましょう。

リコンデイショニングプログラムを進めていくうえでは、身体のトラブルや痛みが生じている部位の痛みを常に確認することが重要となる。リコンディショニングエクササイズを実施する際には、身体のトラブルや痛みが生じている部位に少なからずとも痛みが生じる可能性がある。このことを、パーソナルトレーナーは、事前にクライアントに説明しましょう。

エクササイズ実施中も、クライアントに痛みの有無を確認することを怠らないようにしなければならないです。そして、クライアントが痛みを感じることのないエクササイズの選択、

痛みを感じない範囲でのエクササイズの実施を基本としなければならない。なぜなら、痛みは人間にとってネガテイブな刺激 (ストレス )であり、痛みを伴うリコンデイショニングエクササイズの実施は様々なネガティブ( ストレス )反応を引き起こす可能性があるからである。痛みを実際に感じるのは脳であるが、痛みを感じながらエクササイズを行うことによって、脳がどのような反応を示し、それに伴って身体にどのような反応が現われるかについては、脳科学が進歩した現在もなお不明瞭な部分が多い。しかし少なくとも、痛みを伴うエクササイズの実施は、クライアン卜のモチベーションを低下させ、リコンデイショニングプログラムからドロップアウトさせてしまう司能性があるといえる 。また 、動作上の痛みを避けようとする代償動作によって、他の部位のトラブルや痛みを引き起こしてしまう可能性もあるだろう 。これらのことから、リコンディショニングプログラムを進めていくうえでは、常にクライアントに対して痛みの有無を確認するとともに、クライアントをつぶさに観察し 、痛みを伴わないエクササイズの実施を心がけなければならない。

また、クライアントがリコンデイショニングエクササイズに対する痛みを訴えた場合、そのエクササイズを中断し、プログラムから除外すべきかどうかについては、一概に断定できない面もある 。場合によっては、エクササイズ配列を変えることによって痛みが消失することもあり、痛みが発生したからといって、そのエクササイズを直ちに除外すべきであるとはいい切れない。ある変形性股関節症を抱えるクライアントのケースでは、リコンデイショニングプログラムの進行過程で股関節屈曲動作ス( トレートレッグライジング) によってクラ イアントが痛みを訴えたときに、股関節外転動作 (ヒップアブダクション)を行った後に、股関節屈動作を実施したところ、その痛みが消失したことがあった。痛みが消失した要因は定かではないが、ヒップアブダクションによって左右の腸骨のアライメントが一時的に整い、痛みが消失したことも考えられる 。

いずれにしても、パーソナルトレーナーは様々な可能性を想定して対応することが必要になる。ところで、クライアントの運動経験が少ない場合、筋肉痛と、これまで抱えていた身体の痛みの判別が自分ではできず、筋肉痛に対して過剰な反応を示すことがある。すなわち、リコンデイショニングエクササイズによって身体の状態が悪化してしまったのではないかとクライアントがおもってしまうこともあるのだ。従ってパーソナルトレーナーは、リコンデイショニングエクササイズに伴い筋肉痛が生じる可能性があること、筋肉痛はおおむね 2 ~ 4 日程度で解消すること、筋肉痛によって身体のトラブルや痛みが悪化することはないことを、予めクライアン卜に伝え、必要以上に不安を募らせないようにしなければならない。

プログラムの作成

パーソナルトレーナーは、段階的リコンディショニンクプログラムを作成する。リコンディショニングプログラムを

提供していくうえで最も重要なポイントとして 、段階的なプログラムを作成することが挙げられる。特に、 下肢のリコンディショニングプログラムについては、立位における身体の機能を充分に考慮した段階的プログラムを作成しなければならない 。すなわち、荷重下における単関節運動から、荷重下における多関節運動へと 、段階的にプログラムを 漸進させていかなければならない。例えば、大腿凹頭筋、特に内側広筋の萎縮、機能低下がみられる場合、膝関節症を改善するためには内側広筋を中心とする大腿凹頭筋の筋力強化が重要であるとされている。しかしながら、ただ単に内側広筋を中心に大腿四頭筋の筋力を高めればよいわけではない。内側広筋は膝関節に関わる 一関節筋の一つであり 、重力対応を担いながら膝関節の安定性をもたらす役割をになっている。すなわち 、立位活動時において動力、推進力をもたらす役割を担う大腿直筋の筋活動に合わせて膝関節を安定させる作用を持つ。こうした機能を考慮し多関節エクササイズによる筋力強化を行うことが必要不可欠であると考えられる。しかしながら、荷重下での多関節エクササイズをいきなりリコンデイシヨニングプログラムに導入しでも 、効果があがらないばかりではなく、症状、状態を悪化させてしまうことになりかねない。なぜなら、身体にトラブルや痛みを抱えている人の多くは、多関節、複合的な動きにおいて動員される筋の動員パターンが乱れており、特定の筋の収縮力の低下といった課題を抱えているケースが多いからである。そのような状態でいくら関節エクササイズを行っても、それらの課題を改善する ことはできないのである。特に、重力対応を担う一関節については、重力関与が大きい荷重下では仮に動員パターンが不適切であろうが、重力に抗うために動員されることを余儀なくされる。そのような状態では充分なアプローチが不可能となり、改善が期待できない。

膝関節の機能

変形性膝関節症に限らず、 膝関節の障害に対するリコンデイショニングプログラムを提供する際には膝関節の機能について理解を深めることが非常に重要になる。

膝関節は大腿骨と腔骨によって形成される関節であり、大腿骨の前面には膝蓋骨が存在する。大腿骨が接する断端は、骨同士が直接接しないように、関節軟骨という組織で覆われている。膝関節は股関節とともに、人間が立って生活する際に最も大きな負荷を受ける関節で、ある。その負荷は、 通常の歩行時において体重の3倍に及ぶとされている。そして、その負荷をすべて軟部組織によって受け止め、膝関節の安定性をもたらさなければならない。 また、基本的に膝関節は2つの動きしか持たないことから、機能的に不安定な状態にある。 しかしながら、日常生活における様々な動作において、膝関節の屈曲一伸展運動は単なる運動ではない。従って、関節はほとんどの動作において股関節、足関節のサポートを受けながら機能することになる 。

歩行時の立脚初期において膝関節は内旋位をとることによって動的安定化を図っているとされている。 しかし、解剖学的には膝関節の内旋という動きは存在しないため、歩行時の立脚初期にみられる膝関節の内旋は、足関節の動きによる腔骨の内旋(下腿部の内旋)と股関節の動きによる大腿骨の外旋によって相対的にもたらされることになる。

これらのことから、肢三関節(股関節、膝関節、足関節)の協調性、連動性が損なわれると、膝関節に大きな負担がかかり、さらにはそれを代償するような形で不適切な負荷が全身に加わることになる。

膝関節のリコンディショニング

変形性膝関節症の予防、改善を中心に膝関節伸展制限(屈曲拘縮)の改善が大事です。
変形性膝関節症に限らず、膝関節に何らかのトラブルが生じている場合、膝関節の伸展制限(屈曲拘縮)
が認められることが多い。膝関節の伸展制限は膝関節のアライメント不良による痛みを引き起こすとともに、 下肢の動きを制限させ、QOLを著しく低下させる。従って膝関節に制限が生じている場合は、まずは何よりそれを改善する ことが重要となる。特に変形性膝関節症の場合、ほとんどのケースで膝関節の軽度伸展制限屈( 曲拘縮)が認められることが報告されている。ちなみに、変形性関節症の治療として保存的治療が適応される場合には、大腿四頭筋の筋力強化が標準的治療法として用いられ、その効果が認められている 。しかし、大腿四頭筋の筋力を強化 しでも、膝関節の併l展制限が解消されることはなく 、膝関節の伸展制限を改善する 明確な効果を持つ方法は、まだ明らかにされていない。膝関節の伸展制限が生じる原因は、関節構成組織の拘縮よりも、膝関節に関与する筋の柔軟性が関与していることが多い。

体幹トレーニング

スポーツにおいて、体幹が重要視されているということは多くの人が知っているかと思います。実際に、パーソナルトレーニングで体幹トレーニング(コアトレーニング)を取り入れる人が増え、指導者の数も増加しているそうです。

体幹トレーニングの中でも特に重要とされているものに、骨盤と肩甲骨の連動があります。ここでは、肩甲骨のリラックスモーション・リリースというものについて解説していきます。体幹トレーニングというと、多くの場合、体幹の筋力を増強するためのコアストレングスが行われますが、この肩甲骨体操のポイントは、コアリリース・コアコーディネーション・コアフレキシビリティを重視したところです。このメソッドは、それまでに存在していたメソッドでは体幹トレーニングに対して不十分であるという考えから生まれたそうです。

また、この肩甲骨体操は、側方宙返りのようなアクロバティックな技に失敗して、右肩の亜脱臼などの大ケガをした人が、そのリハビリテーションとして可動域の向上と、肩甲骨の操作感覚の回復ために行ったものでもあるようです。その人は成人になってからの大きなけがから後遺症もなく回復できたのは、このプログラムを行ったからだと語っています。

肩関節周囲炎などの痛みは、QOL(Quality Of Life/生活の質)を著しく低下させるおそれがあります。また、ストレスや神経痛が原因で痛みが生じることもよくあると思いますが、筋力のバランスが取れていないことや部分的なタイトネスが原因なのであれば、解剖学的な視点から痛みをなくすことができる可能性もあるそうです。

転倒予防のエクササイズ

歳を取ってくると、今までになかったような転び方をすることがあるかもしれません。ただころんだだけでも重大なケガにつながるおそれがあるので、日々のパーソナルトレーニングで転倒予防のエクササイズをしておくのがおすすめです。

転倒予防のための補助的なエクササイズに、座って行えるものもあります。座った状態でかかとを上げたり下げたりするというものです。筋肉の動きを意識しつつ、かかとの上げ下げにそれぞれ24秒かけましょう。その際、かかとが最も高くなった位置で1秒ほど静止させると効果が上がるそうです。このエクササイズの目的は、ヒラメ筋を中心とする下腿部の筋力強化と、足首の関節可動域を拡げることですが、「つま先で床を押す感覚」や「筋肉の動き」を足首に適応させるという効果も期待できるといいます。1020回を13セット行うと良いでしょう。

座った状態でできるエクササイズは他にもあります。椅子に座り、つま先の上げ下げを行うというものです。つま先を目一杯上げたところで、1秒静止させます。傷害のリコンディショニングや、高齢者・低体力者の転倒予防の効果があるそうです。1020回を13セット程度行えば大丈夫です。

立った状態で行うのであれば、壁に軽く手を置いてバランスをとりながら、立位の姿勢でかかとの上げ下げをするエクササイズがおすすめです。かかとの上げ下げには、それぞれ24秒かけてかかとが一番高くなったところで1秒静止させましょう。

大腿強化のエクササイズ

膝の傷害においてのリコンディショニングの柱は、大腿の筋肉の強化であると考えられているそうです。膝には、体重という大きな負荷を支えてコントロールするという役割があります。したがって、パーソナルトレーニングの方法がどのようなものであっても、大腿の筋力強化を取り入れていなければ、膝のリコンディショニングとしては十分なものとはいえないかもしれません。

膝の痛みを改善するために整体や接骨院などに行き、一時的に膝の痛みやアライメントが改善することがあると思います。しかしその後、すぐに痛みが再発したという経験がある人もいるのではないでしょうか。これは、筋力やバランスなどの機能の強化が不十分になっているためだと考えられます。しかし、体重を負荷とするエクササイズはそれほど手軽なものではないため、思い立ったらすぐに行えるというものではありません。その時に持っている筋力に合わせて段階的に負荷を上げていくことが、膝のリコンディショニングにおいては重要な要素であるといえるでしょう。

大腿の筋力強化には、寝たままや座った姿勢でもできる非荷重のエクササイズがあります。膝を伸展させて仰向けになり、両膝に小さなボールをはさみます。このボールはクッションや枕などでも大丈夫です。つま先は常に真上を向いた状態をキープしながら、5秒間ボールをつぶすように力を入れます。最初の数回は弱い力で行い、慣れてきたら息を吐きながら力を強めていくと良いでしょう。

股関節のストレッチ

変形性膝関節症では、大腿骨などの軟骨が消耗していきます。軟骨の消耗のが進行速度は骨と骨の接触具合によって変わりますので、膝関節の隙間を広げて骨の先端についている軟骨と軟骨の間ので接触を緩和すれば、膝の消耗の抑止にもつながるでしょう。


膝を完全に伸展しようとしても、最終可動域で力が入らないというような場合でも、ストレッチを行うと完全に伸展できるようになる可能性があります。
膝関節の隙間をあけるストレッチの一つにタオルを挟む方法があります。膝の裏にバスタオルを丸めたものを置き、正座のように体重をかけていきます。すると、テコの原理で骨と骨の間にある隙間を広げることができるそうです。正座ができさえすれば、短時間で手軽に行える方法ですので、パーソナルトレーニングの合間に行うのも良いかもしれません。また、変形性膝関節のリコンディショニングにも効果があるようです。


膝の伸展の最終可動域で力が抜けてしまうような場合は特に、このストレッチを行うと違和感や痛みの軽減が期待できるといいます。ただし、前述のように正座ができる程度の膝の可動域は必要です。可動域が低下している場合は避けた方がよさそうです。また、膝の屈曲に痛みが生じるような場合も、このストレッチはオススメできません。
大腿四頭筋の柔軟性が高い人や左右で膝関節の可動域が大きく違うひとであれば、タオルを片脚ずつ挟むストレッチ方法もあります。立ち膝の姿勢でも、正座の姿勢で行っても問題ないようです。

膝のセルフマッサージ

膝に傷害があったり、痛みがあったりすると、膝周辺の筋肉や靭帯がこわばることがあります。このような場合、何となく膝の噛み合わせが上手くいってないような感覚を持つことが多いそうです。この原因としては、膝蓋骨の周辺に付着している筋肉や靭帯がこわばって緊張していることが挙げられると思います。


このような時の対処法としては、膝蓋骨の周辺をなぞるように、両手で圧迫しながら膝を動かすセルフマッサージが有効だといえるでしょう。このマッサージのポイン卜は、膝蓋骨周辺を押さえながら、自分自身の力で膝を前後に振るようにすることです。また、脚を振る動作はできる限りリラックスして行うことも大切だと思います。


こわばっていた筋肉や靭帯が弛緩すれば、動かしているうみに自然と大腿骨、膝蓋骨などの位置が整ってくることが期待できます。特に、膝にけがをしている人は、日常生活の中で膝をかばってしまうことにより、大腿部を緊張させて動作をおこなっていることが多いといいます。これは膝周辺の組織をさらにこわばらせ、膝を動かしにくくさせているケースもあるそうです。


このセルフマッサージは普段の生活の中でも、パーソナルトレーニング中のセット間でも手軽に取り入れられるのが良いところでしょう。
膝に違和感がある場合は、ひとまずこのセルフマッサージを1530秒程度やってみるといいと思います。やり過ぎによるデメリッ卜はほとんどありませんので、日頃の膝のケアとして取り入れてみてはいかがでしょうか。